東京、埼玉の手織教室、染色教室 はたおと
初めての糸染め実習
五月一日、時折、突風が吹く曇り空の日、毛呂山校にて行われた、化学染料の糸染め実習に参加しました。
布染めで馴染み深い毛呂山校なのですが、初めての糸染めへの期待と高揚感からか、いつもとは違った風景に見え、何だか不思議な感じで実習の準備を手伝いました。
今回の実習メンバーは六名。みなさん東京校の生徒さんです。実習に入る前に、教室の中で化学染料と糸染めについての講義があり、先生から染料の配分のアドバイスを受け、実習へと入りました。
まずは、色作りです。寸胴に水を張り、アドバイスいただいた染料を少しずつ混ぜ合わせていきます。初めは慎重にやっていたのですが、やっているうちに、案外、思い切りも大事なのだと気付き、後半は割と大胆に調合していきました。
希望の色に近づいたら、いよいよ糸の投入です。寸胴の縁に棒を渡し、そこに糸をかけます。コンロに火を点け、九十度まで温度を上げていくのですが、途中、様子を見ながら、染料を足して色の調整もします。また、その間はずっと糸を繰っていくので、思いのほか重労働です。九十度までの先は長く、熱さ(暑さ)と腕のだるさとの闘いでもありました。六十度を超えた頃からビニール手袋だけでは辛くなったので、軍手を借りて併用しました。
そうして糸が染まったら、水で洗い、脱水をかけて干します。
一色染め終えたところでもうお昼でした。この調子で今日中に終わるのかという不安を抱きつつ休憩に入ったのですが、先生の美味しそうなご飯を前にした途端、そんな不安は吹き飛び、幸せなお昼を堪能しました。
いつもより短めの休憩の後、午後の作業に入りました。一色染めたことで要領を得たのか、二色目からは、色の調合も早くなり、思ったより早く残りの糸を染めることができました。
無事、染色を終え、あとは経糸の糊づけと、使うときに糸が切れないように、きちんと糸をはたいておく作業です。ダイヤ柄がきれいに出るようにするのはかなりの難題で、最終的には先生の手をお借りしました。
この実習を終えて、化学染料の魅力と糸染めの楽しさに目覚めました。
一期一会の草木染めはもちろん魅力的なのですが、調合次第で好きな色を生み出せる化学染料の奥の深さにも惹かれました。
糸染めは、染め上げる楽しさはもちろんのこと、染まっていく糸を眺めては、あれこれ想像が広がってワクワクできるところも素敵だと思いました。
最後に一つ心残りなことは、今回、原色に近い色ばかり選んでしまい、複雑な調合に挑戦できなかったことです。次回は存分に化学染料の醍醐味を味わいたいです。